スポーツ個性學
プロフィール
石井 憲正
日本個性學研究所 代表
スポーツにおいて選手同士、選手と指導者の関係においても互いの個性の把握は大切なこと。スポーツにも役立つ個性學を開発。
日本個性學研究所
http://www.koseigaku.co.jp
日本個性學研究所 代表 石井 憲正
【取材】個性を知り、活用しよう
㈱日本個性學研究所 所長
石井 憲正
<プロフィール>
人間の個性・適性・コミュニケーションについて、個と組織の関係を臨床的に研究。1985年に研究所を設立後、個性に関する研究を「個性學」と命名した。21世紀に必要な「個が全体と調和した企業や組織」のための経営戦略、人材戦略、販売戦略、マーケティング戦略を展開し、一人ひとりの幸せ創りの応援を続けている。現在コンサルタント・著作活動・自社主催セミナー・講演講師として活躍中。指導先は延べ6000社を超え、現在限定50社を顧問指導し、一般向けにはレポートや携帯コンテンツを提供している。
個性學とは
私たちは、「個性」という言葉を日常的に使います。
「個性を知る」「個性を大事にする」「個性を伸ばす」「相手の個性を尊重する」。
一人ひとりがいきいきと幸せに生きるためには、自分の個性を知り、その強みを活かすことと、相手の個性を知り、それを理解することがとても大切です。
私は今から約40年前、企業で人事を担当しており、常に「適材適所」を考えていました。
ところが、色々な適性検査の結果をもとにしても、その人の仕事の適性はわかりませんでした。
そこで、1971年に企業における人と仕事の適性という視点で研究を初め、人生や社会生活の中で最も重要なキーである「意思決定」のプロセスについて徹底的に研究しました。
検証した結果、意思決定を特定するものとしては「生年月日」による分類が最も確度が高く、有効であるという結論に達しました。また能力は性格の中にあることが判明し、性格が仕事をするということを発見したのです。
そして、その人の生年月日をもとにした個性の類型や活用の仕方を「個性學」と名付けました。
個性學では「個性」を下記のように定義しています。

個性の分類① 内面と外面
研究の結果、個性には内面と外面の二面性があることがわかりました。
○内面・・・意思決定(価値観)
気質や性格、そして最終的な意思決定を行なう時に大きく影響を及ぼす部分
○外面・・・行動特性(第一印象)
対人対応などの意思決定したことを行動に移すときに大きく影響を及ぼす部分
自分の中で二面性を感じたり、初対面の人の第一印象と最終的な考え方にギャップを感じたりするのは、内面と外面の違いによる影響があるからです。
個性の分類② 3分類
個性は、人生の目的や幸せの形によって、「人志向」「城志向」「大物志向」の3つに分類することができます。
●人志向・・・はずかしい人生であってはならない
○ 人生の目的
周囲の人と和気藹々と仲良く生きていきたい
○ 大切にするのは
信用と信頼(人と争いたくない)
○ 仕事に求めるもの
存在感、やりがい
○ 得意な役割
これから必要なコト・モノを考える
○ 潜在的な才能
創造力、協調性、こだわり
○ 目指す人物像
信頼される人
「人志向」の成長するキーワードは、「信用、信頼できる人」「あの人はいい人だね」「成長している」と言われることを目標とし、みんなで仲良くあたたかい人間関係を求めています。また、これからどうなるか、新しいコトやモノに惹かれます。
▲城志向・・・人生は楽しむためにある
△ 人生の目的
好きなときに、好きなことを、好きなだけしていたい
△ 大切にするのは
自分らしさ(自分のペースを乱されたくない)
△ 仕事に求めるもの
実力(収入)
△ 得意な役割
具体的に表現する、形にする、お金にする
△ 潜在的な才能
表現力、競争力、効率、バランス感覚
△ 目指す人物像
自立している人
「城志向」の成長のキーワードは「自分を表現する」、「競う」、「稼ぐ」、「おもしろい」、「夢」などです。実力をつけ、お金をしっかり稼ぎ、自立することを求めています。そして、楽しい興味のあるコトやモノに惹かれます。
■大物志向・・・人生は自分の可能性を試す場
□ 人生の目的
自分の可能性を試すこと
□ 大切にするのは
可能性(枠にはめられたくない)、目標
□ 仕事に求めるもの
達成感
□ 得意な役割
形を世に広める、大きく展開する、結果を出す
□ 潜在的な才能
展開力、集中力、達成力
□ 目指す人物像
多くの人から支持される、スゴイといわれる人
「大物志向」の成長のキーワードは「大きい」「挑戦」「目標」「可能性」です。明確な目標を持ちそれを達成すること、自分や組織の可能性を追いかけること、でがんばれます。また大記録や大舞台(オリンピック、ワールドカップなど)が似合い、大きな組織、コトやモノに惹かれます。
個性によって人生の目的や、スポーツをする目的が違います。
例えば、2008年の北京オリンピックで金メダルを獲った選手のコメントを比べると、それがよくわかります。
● 人志向
○ 内柴正人(男子柔道66キロ級)「子供に立派な父親でありたかった」
▲ 城志向
△ 北島康介(水泳・平泳ぎ)「五輪は楽しかった。楽しめた」
△ 上野由岐子(女子ソフトボール)「楽しんだ、楽しかった」
△ 末続慎吾(陸上)「楽しかった~」
■ 大物志向
□ 谷本歩美(柔道女子63キロ級)「(アテネに続いての連覇は)大きな達成感と喜びがあります」
□ 上野雅恵(女子柔道70キロ級)「やったな!という達成感でいっぱい」
このように、人志向の人は「こういう人でありたい」、城志向の人は「楽しみたい」、大物志向の人は「達成感」と、なんのためにスポーツをしているのかという目的が違っているのです。
さらに、それぞれは意思決定の仕方の特性により、4つずつに分類することができます。
●人志向・・・配慮型、先端型、自然型、実績型
▲城志向・・・実益型、夢想型、独自型、悠然型
■大物志向・・・完璧型、努力型、敏感型、挑戦形
個性は人志向・城志向・大物志向の3分類がベースになり、役割に応じて細分化されます。
例えば、「人生の目的」「意思決定」「コンセプト」「組織における役割」「マネジメントの仕方」「仕事の取り組み方」「交渉の仕方」「モチベーションのかけ方」「生き方」「能力」といった分類です。それぞれで複合的に組み合わされる個性は、720万通りに分類されます。
720万通りの中で、その時に必要とする切り口に応じてその個性を把握することが大切です。
その中でも特に、内面と外面を12分類(人志向、城志向、大物志向の3分類をさらにそれぞれ4つに分類したもの)に分けた144分類(内面の12分類×外面の12分類)がわかるだけでも、大きく役に立つと思います。
自分の個性を知り、他人をうらやましがらずに自分らしさを十分に生かした人生を築いて欲しいと思います。
そしてアスリートの皆さんにはチームでの役割があります。自分の個性と役割がぴったり合い、それに徹することで自分の実力を発揮でき、チーム力も向上することができるのです。
個性の分類③ トキ
トキとは、繰り返し経験するものです。季節のようにすべての人が同じ経験をします。
トキは「サイクル」「期間」「事件」によって100通りに分類されます。
生年月日によって、いつ、どんなことが起こる可能性が高い日なのかがわかります。
短絡的に好調・不調というよりも、今何をすべきかを見極めるためのものです。
例えば、「ケガをしやすい日」というのがあります。アスリートにとって大きなケガは致命的です。ケガをしやすい日に無理をしたら、1年、否一生を棒に振るようなことにつながる可能性もありますから、これまで怪我をした人は、その日がどういう日だったか確かめてみるといいでしょう。そしてかしこいトキの活用をされること(自己管理)を願っています。これまでと違った自己管理ができるようになります。
トップアスリートによる事例
事例として、トップアスリートの個性を調べてみましょう。

日本プロ野球の歴代ホームランバッターを調べてみると、王選手、落合選手、清原選手、松井選手らがいますが、なんと皆「大物志向」です。
また、オリンピックや国際大会など、世界の舞台や大舞台で結果を出すのは「大物志向」と「城志向(独自型)」が多いようです。特に大物志向は連覇をするアスリートが多いことに気づきます。
個性とコミュニケーション
人志向、城志向、大物志向の3分類は、意思決定のパターンや役割が異なるため、指示や意思の伝達といったコミュニケーションがスムーズにできるかどうかにも影響を及ぼします。
下図のように、ジャンケンのような関係になっています。

● 上下関係が→の場合、コミュニケーションはスムーズだが、逆方向の場合はスムーズにいかない
● 同じ志向の人同士は似たもの同士であるから、相手の言うことを理解でき、コミュニケーションはスムーズ
個性が違っているのに、同じだと思って話をしても、うまく通じません。
このことがわかっていれば、チーム内でうまくコミュニケーションがとれるようになり、チームワークが向上します。
※相性
個性學にはもう一つ相性というキーワードがあります。なんとなく気の合う人、合わない人がいます。そしてどうしても気の合うもの同士が集団を作ってしまいます。そうするとチーム力に影響を与えることになります。また指導者とアスリートの関係もできるだけ相性がよいほうが成果が上がります。一考に値します。
指導者は個性を理解した指導を
アスリート本人だけでなく、指導者も選手の個性を理解することが必要です。
日本では、指導者はみんなに同じように接しなければならないという風習があります。
ですが、「みんな同じ」ではありません。
適応の早い選手、遅い選手。
手取り足取り指導した方がよい選手、放っておいて時間をかけた方がよい選手。
器用で少しの練習でできるようになる選手、不器用だが、練習すればできるようになる選手。
これらをわからないで指導すると、選手がやる気をなくしたり、伸びる前にやめてしまったりすることにつながってしまいます。
また前述のように、スポーツをする目的自体が違うことも知っておかなければなりません。
例えば人志向、大物志向の人に対して「楽しんでやれ」と声を掛けても、その人たちの中に「楽しむ」という目的がないので、あまり意味がないのです。
選手のトキを知ることも重要です。
ケガをしやすい日に無理をさせたら、その選手生命にかかわる問題になる可能性もあります。
「~~に気をつけよう」と声を掛けたり、無理をさせずに休ませたりすることも必要です。プロの世界では難しいことだと思いますが、選手も人生があります。大事なことです。
このように、個性を知って指導するのと知らないで指導するのでは大きく違います。
個性學で個性を知り、それに合った指導をすれば、これまでとは異なった意味のある指導が可能となり結果としてチーム力は上がることでしょう。
最後に
個性學は、人間の生得的な個性(意思決定・行動特性・役割)を質的に分類し、天分、トキ、相性という切り口を応用することで、個人や組織の目標達成を個別に支援することを目的としています。
個性によって人を決めつけることはしません。短所の研究はせず、長所を伸ばすという考え方を徹底して貫いています。
また、個性學では生年月日によって分析可能な内容と不可能な内容をわきまえています。
スポーツで特別な才能があるかどうかを見分けることはできません。
わかるのは、どんなスポーツに向いているかとか、例えば野球であれば向いているポジションや打順、役割のようなことです。
生年月日によって「器」や人生まで決まってしまうということであれば、誰も努力をしなくなります。
同じ生年月日なら個性は同じですが、遺伝、育った環境や習得した技術、経験の違いがあります。努力や経験が大事なのは言うまでもありません。
720万通りの個性の中で、内面と外面を12分類(人志向、城志向、大物志向の3分類をさらにそれぞれ4つに分類したもの)に分けた144分類(内面の12分類×外面の12分類)とトキの100分類がわかるだけでも、大きく役に立ちます。
いきいきと自分らしく幸せに生きるために、個性を知り、活用して欲しいと願っています。
※個性學について詳しく知りたい方は、こちら
http://www.koseigaku.co.jp
